10.この母にして…

☆この母にして…☆

今まで余り心配をかけたくなかったので、病気の事は少ししか言ってなかった。
でも病院に来て貰わなければならないので、仕方なく電話した。
母にショックを受けさせちゃうなぁ・・・
「とうとう手術することになったんだよ」
深刻に話す私。すると母は
「え？ボーナスは出るの？」
と言う。ナンノコッチャわからないけど
「出るよ」
と答えた。
「じゃぁ、手術代になるね。よかった！アハハハ・・・」
「・・・。」
親ってさぁ、無償の愛を与えるとか言うじゃん。
あれは我が家には当てはまらない訳？「お金の心配はしなくていいから」親ならそう言うんじゃないの？
今更ながら自分の親にビックリさせられた。

そんな母と共に病院へ行く。

「今回、お嬢さんは・・・・・」
先生の説明が終わると
「先生、手術代っていくらかかるんですか？」
ボーナスが残るかどうか瀬戸際の私は、質問せずにはいられない。
「十何万じゃないのかなぁ？」
先生が答えると、母が
「先生、お金はいくら掛かっても構わないので、娘をよろしくお願いします」
と頭を下げて懇願する。

‘な～んじゃそれ？’

私のボーナスで払えって言ってたじゃん。
これじゃ絵的に『はしたない質問をする娘といいお母さん』ってな具合だ。
嗚呼、また母にやられた・・・。

*****　11.いよいよ入院　へ続く　*****